中学生のとき、田舎町に一軒だけある楽器店でハンク・ウィリアムスの
レコードを買った。
その頃の「洋楽」コーナーには、カスケーズとかニュールセダカとかの
ヒット曲と一緒に、普通に、カントリーのレコードも置いてあった。
それは、私が生まれて初めて買ったカントリーのレコードで、
確か「コンパクト盤」とかいうものだった。
Your Cheatin' Heart、Hey, Good Lookin' それと
Jambaraya、Half As Much、この4曲が入っていたと記憶する。
時がたち、大学1年の夏のことだった。
私は部活の先輩に連れられて、その一学年上のTさんの葬儀に参列した。
Tさんが元気なころは、我が部でスチールを担当して活躍、
だが、私が入部した時にはすでに病床にあった。
暑い日だったことを思い出す。
葬儀会場は八王子の自宅だった。
参列者が多く手狭だったので、焼香を済ました先輩と私は玄関の外にいた。
やがて読経が終わると、スピーカーから突然スチールのイントロが流れてきた。
亡くなられたご本人の、生前に録音された演奏だった。
Your Cheatin' Heart・・・
お母様が、棺にすがりついて泣いていた。
2012/1/20