カップルが怖い体験を共有すると、その仲が急速に縮まる。何かに書いてあった。
例えば、ゆらゆら揺れる吊り橋を一緒に渡るとか、ジェットコースターに二人で
乗って怖い思いをするとか。なるほど、そうなのかもしれない。でも・・・
ある日、結婚したての若者A(匿名希望)が我が家にやってきた。先日、彼女を
連れてお化け屋敷に行ったらしい。
「そのお化け屋敷というのが、病院で・・・」
「おお、嫌だ!」とパッツィー。
お化け屋敷の中は朽ち果てた古い病院だった。もうそれだけで怖い。
それでも、入ってしまったものは仕方がない。二人は、ビクビクしながら、
暗い病院の廊下を歩いた。
すると突然出た。ギャー!逃げる。角を曲がるとまた出る。また逃げる。
失敗した!こんなところに来るんじゃなかった。二人は後悔しながら前に進むと、
古い病室に突き当たった。
入りたくない。どうしよう?だが、そこを通らないと出口にたどり着かないようだ。
ならば、入るしかない。
恐る恐る足を踏み入れると、いくつかのベッド。ギョ!ベッドに何人かが寝ている。
よく見ると、何だ、全部人形だ。それなら・・・と、通り過ぎようとした。
その時だった。ベッドから、突然、人が起き上がった。ギャァー!!!
こういう時のAの足は速い。彼は、脱兎のごとく逃げ出した。
「アハハハ、アハハハ、わかる、わかる。それで?」
「外に出でホッとしたら、彼女が、いなくて・・・」
ひょっとしたら、彼女はまだお化け屋敷の中に?それは、かなりマズイ!
やっとのことで脱出したばかりのAは、意を決し、再びお化け屋敷の中へ。
彼女は病室にいた。腰を抜かした彼女は、病室の床に座り込んだまま泣いていた。
「それはマズイよなぁ」
「その後が大変で」
「だろうね。おかしいけど・・・でも、マズイよなぁ」
それからしばらくして、二人は離婚した。
お化け屋敷の出来ごとが、離婚の原因だったのかどうかは定かではない。
「If I Cried Every Time You Hurt Me」
ワンダ・ジャクソン1962年の作品。
カントリー部門とポップス部門でチャート入りしました。
2014.4.3