「明日、世界が滅びるとしても 今日、あなたは リンゴの木を植える」
歯医者の待合室の本の中に、こんな言葉があった。文学者であり、優れたエッセイ
ストでもあり、はたまたコピーライターの肩書までを持つ「開高健」は、よくこの
言葉を色紙に書いたらしい。
宗教家マルティン・ルターの「・・・私はリンゴの木を植えるだろう」からの引用
だそうだが、開高健による「わたしは」から「あなたは」への置き換えは見事だ。
ところで今度の総選挙だが、どうやら低い投票率になりそうだ。
前回の衆議院選挙は59%だったが、もしかすると、今回はそれよりも低くなるかも
しれない。昭和28年は70%を超えていたのだが・・・
中でも、若者の投票率が下がっているようだ。彼らが選挙に行かない理由というのが
関連サイトにあった。面倒だから。政治に失望している。投票しても何も変わらない。
賛同できる政治家がいない。若者の一票は老人の数にかなわない・・・
「国民はそのレベル以上の政府を持てない」と誰かが言った。
高校の政治経済の教科書でこの言葉を知った。以来、このことがなぜか耳を離れず
その時折の政治の現状を見るたび、私たち国民のレベルを思い知る。
そんなこともあって、私とパッツィーは、できるだけ投票所に行くようにしている。
その日に別の用事がある時には、必ず期日前投票をする。というわけで国政選挙へ
は、ここ数十年皆勤賞だ。
ところが、自分たちが投票した候補者が、必ずしも当選するとは限らない。
選挙速報のテレビを付けた途端、落選が決まった候補者もいた。そんな時、期待して
いただけにガッカリはする。だが、責任を放棄しなかったと・・・
「投票しても何も変わらない」と言った若者。実際、そうなのかもしれない。
また「政治に失望している」という声。これもよくわかる。実際、非正規雇用で
苦しんでいる若い人たちを何人も知っている。
しかし、投票率は民主国家としてのレベルだと思う。
そして、国民は、そのレベル以上の政府を持てないのだ。
大酒のみの作家は言った。「今日、あなたは リンゴの木を植える」
「Blowing in The Wind」
ボブ・ディランの名作「風に吹かれて」
ここではPPMのステージで。
2014.12.11