NHKの「世論調査」。安保法案の不支持は多いのに、安部内閣の支持率が
43%もある。そもそも、この世論調査というものは民意を正確に表している
のだろうか。そして、その調査方法には問題はないのだろうか?
第二次安部改造内閣(昨年)の支持率調査では、読売が64%、日経が60%、
共同通信が54.9%、毎日が47%、最高と最低では17%もの差がある(Wiki)
読売では人気内閣。毎日では国民の半数以上が「支持しない」。誤差範囲と
しては大きすぎる差。いったいどっちなのか?
近年の調査では「RDD方式」(乱数番号法Random Digit Dialing)を採用して
いるようだ。これは、「固定電話」を対象に、コンピューターで無作為に抽出
した番号に電話をかけ、応対した相手に質問を行う方式。
これには問題も指摘されている。例えば、「携帯電話の普及」で、固定電話を
持たない家庭(特に若い世代)の増加を無視できるのか? また、電話詐欺が
横行する現在、突然かかってくる電話に出て快く回答する人たちは「民意」の
平均像なのか?とか・・・
だが、いくら世論調査が正確でも、世論が政治に反映しなければ意味がない。
その「民意が政治に直結しない」ことについて、社会科学者の小熊英二(慶応
大学教授)氏は、新聞のコラムにこう書いている。タイトルは「思想の地層」
<安保関連法が成立した。反対運動の高まりを経て、この法律の賛否を選挙の
争点にしようという声もある。・・・だが、運動の高揚は必ずしも選挙に直結
しない。・・・近年の選挙では、低得票率と野党分裂が自公勝利の一因となっ
ている。
投票率が5割台なら、自公は3割の組織票で確実に勝つ。野党が分裂するならな
おさらだ。2009年の衆議院選挙のように、投票率が7割に上がり、野党が協力
しないと、自公には勝てない。
また、選挙は選挙区で行われる。国会前に何十万人が集まっても、各選挙区に
帰れば数十人や数百人なのであれば、選挙では力を持たない。
もちろんこれは、望ましい状況ではない。これだと組織票を提供する集団の声
が国政に結びつきやすくなり、組織外の多数派の声は反映されない。
それが政治への無力感と無関心、低得票率を招き、さらに特定組織が政治を左
右しやすくする悪循環を生む。また利益集団の声に左右される政治は、財政赤
字を招きやすい。デモの多発は、この状況への不満の表れでもあろう・・・>
そういうことだ。だから投票に行くべきだ。「棄権」をするということは、
選挙結果をそのまま受け入れるという「白紙委任状」の発行と同じなのだ。
それはとても「危険」だ。
「Good Woman Blues」
メル・テリス1976年のNo.1ヒットです。
2015.10.21