リトル・リーグのコーチ時代のこと。
正月なので、グラウンド開きをやろうということになった。
一年間事故が無いように、優勝できるように・・・縁起を担いだわけだ。
この事務局長の提案に、コーチ一同、父兄が賛成し、リーグのトップである
例の名物会長に話を持って行った。すると会長、やりましょう!と即決、私たちは
お祓いをお願いする神主さんについて喧々諤々。すると、名物会長が一言。
「私がやります」
「えっ?会長がですか?」コーチたちが声を揃えた。
「私がやれば、費用が浮きます。お金がもったいない!」
そういうことで、当日のグラウンド開きは、会長が神主を代行することになった。
早朝、ユニホーム姿の選手たちが整列する。そして、その後ろにコーチ陣と父兄。
そこに、事務局長の神事開始の合図で、神主役の会長がしずしずと現れた。
私たちが、本当に大丈夫なのだろうかと見守る中、一礼した会長は、用意してきた
紙吹雪を自信に満ちた動作で、ダイヤモンドの四隅に播く。
オッ、四方祓いだ!結構やるな!それを見て、私は思った。
その後、会長神主は、頭を下げた選手たちの前に立ち、これまた自分で作ってきた
ハタキのようなものを左右に振りながら、ミコトノリのようなものを唱えだした。
その本格的な所作に、私たちコーチ陣と父兄も神妙に頭を下げていたとき、前方の
選手たちがヒソヒソしだした。そのお喋りは、初めは少しずつ、そして、途中からは
クスクスしだし、終いには腹を抱えて笑いだした。
これは、いったいどうしたことか!神事なのに・・・
そこに、会長神主のミコトノリが、切れ切れながら、私たちにも聞こえてきた。
「曇りガラスを・・・あなた私が見えますか・・・愛しても愛しても・・・」
エッ、まさか?ウッ、この詩はひょとしたら?ウソだろう・・・
これはサザンカの宿ではないか!
この辺りからは、選手たちも、そして、それまで、あっけにとられていた大人たちも
大爆笑。だが、その声の中に、不謹慎だ!とか、ふざけている!とかの怒りの声も。
ところが、この名物会長、そんなことは一切気にせず、最後までミコトノリを・・・
というか、サザンカの宿を三番まで唄いきってしまったのだ。
私は、天罰が下らぬよう、心の中で・・・。
「I Can't Help It」
ハンクの作品は、1951年に2位。
これはB面だったそうで、ちなみにA面は 「Howlin' At The Moon」で3位。
今日は、ギターを弾いていたころのチャーリー・プライドです。
2013.1.8