必要なことはなかなか思い出せないが、つまらないことは妙に良く覚えている。
学生食堂のカレーは55円だった。とにかく安い。だから、懐が淋しい時には、
ここのカレーだ。
ご飯を大盛りにすると、確か10円増し?それでも安い!
だが、ここのカレーには少し恨みがある。
昼時、カレー窓口には行列ができていた。チケットを買い、行列の後ろに並んだ。
オープンカウンターになっているので、コックが、カレーライスを作っているのが
よく見える。
どんどん行列がさばける。もう少しだ。オー美味そう!次だ。
いよいよ私が受け取る番になった。ところが、だ。「ちょっと待って」と言って、
コックが手を止めた。どうしたんだ?カレーが売り切れか。
私は、カウンターから身を乗り出し鍋の中を覗いた。すると、まだカレーはある。
安心した瞬間、コックは、ボウルいっぱいに入った水を、カレーの鍋に注ぎ出した。
それも大量にだ。ドクドクドク・・・
ちょっと待ってよ。それじゃ、どう考えてみても、鍋に残ったカレーよりも
水の量のほうが多いだろう?カレーが薄くなる。いや、なりすぎだ。
水を入れるのはもうヤメロ!よりによって私の時に・・・
私の顔は鬼のようになっていたのだと思う。コックは、そんな私を見て、
何か文句あるか!みたいな目つきをした。思い出してもむかつく!
水を全部注ぎ終えたコックは、鍋を二三回グルッとかき回すと、大盛りライスの横に、
水で薄め抜いたカレーをよそって、私の目の前に置いた。
こんなもの誰が食うか!とは言わなかった。昨夜から何も食べてないのだ。だから、
我慢してカレーをテーブルに運んだ。
食べてみると、やっぱり薄かった。
水っぽい。ン?でも、まずくない。いや、結構美味い。あんなに水増ししたのに。
その時思った。これだけ薄めても美味いのだから、自分の前に食べた人は、もっと
美味かったに違いない・・・悔しい!
そうだ、こんど、あの学食に行ってみよう。
建物も替わっているだろうし・・・あのカレーはどうなっているだろう?
でも、学食だからビールはないだろうな。パッツィーは、ビールがない食堂には
絶対行かないからなぁ・・・
「You Don't know Me」
この曲、特にジャズ系の歌手に人気があるようだが、
シンディ・ウォーカーという女性カントリーシンガーが書いた
れっきとしたカントリーソング。
オリジナルは、作者にも名を連ねているエディ・アーノルド。
1962年に、レイ・チャールズで大ヒットしました。
ここでは、リッキー・ネルソンの唄で。あの頃の懐かしい感じが・・・
2013.5.31