小説に<ハイジャックHijack>のことが書いてあった。それによると、
その昔、いきなり入ってきた強盗はピストルを突き付け、「ハーイ、
ジャック!」と叫んだことが言葉の由来だとあった。面白い話だ。
調べてみると諸説あった。追いはぎ「Highwayman」と、密猟者「 Jacker」
を組み合わせたという説。高く手を上げろ「Stick’em up high, Jack」という
強盗の脅し文句説。駅馬車強盗が御者を呼びとめるときに、「Hi Jack!」
(ハーイ、ジャック!)と声をかけたという説。小説が言うのはこれだ。
英語圏では、ジャック「Jack」は男性の一般的な略称(日本で言えば太郎の
ようなもの)で、見知らぬ男に呼びかける時に「ジャック!」と使うらしい。
なるほど、覆面強盗がドアを開けるやいなや「ハーイ、ジャック!」。
まさに、ハリウッド映画にありそうなシーンだ。
どんな乗り物の強奪でも「Hijack」と呼ぶそうだ。飛行機がハイジャック、
船の場合はシージャック、バスの時はバスジャック。このように使い分ける
ことは、間違いではないにしても、由来からすると少し違う気がする。
日本でハイジャックという言葉が使われるようになったのが、航空機「よど号」
ハイジャック事件から。その時、ハイ「Hi 」を、高いところの「High」と取り
違えたようで、ハイジャックと聞くと「飛行機の強奪」となる。無理もない。
まさか「ハーイ、ジャック!」からきているとは夢にも思わなかったに違いない。
ロスアンゼルス国際空港では、不意の混乱を起こさないよう「Hi Jack!」
(ハーイ、ジャック!)とか、「Hey Jack!」(ヘイ、ジャック!)と挨拶を
交わすのを避けるように呼びかけているそうだ。
そこで「ジャック」の話。Jackという名前から派生した言葉がたくさんある。
たとえば<Jackknife ジャックナイフ>は刃物師の名前から。
<Jacket ジャケット>もそうで、これに対応するドイツ語<Jacke ヤッケ>は
登山用語として日本に入ってきたという。
また、人の名前だけではなく、電話線などを差し込む<telephone jack
テレホンジャック>、車を持ち上げる<ジャッキ>はJackの訛ったもの。
旗にも使われていて、英国国旗<Uion Jack ユニオンジャック>や、海賊船の
黒旗<black jackブラックジャック>など。
ことわざや慣用句としてもよく使われている。
<Jack would be a gentleman ジャックでも紳士になれる>
<Every man Jack どいつもこいつも>
<jack price up 値段を吊りあげる>
<jack-in-office 横柄な小役人>
いったいジャックとは、どんな奴なんだ・・・
このブログを書いている時、たまたま用事があって日本のジャックさんと
電話で話をした。もちろんジャックの慣用句のことは言わなかった。
そのかわりロスアンゼルス国際空港に行くことになったら、くれぐれも気を
つけるようにと言おうと思ったが、説明が長くなるのでこれもやめにした。
「If We Make It Through December」
マール・ハガード、1973年に1位になりました。
おしゃれで軽快なメロディにのせて、クリスマスに失業した男の
悲哀を唄います。
2015.7.21
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