最後まで抵抗を続けていた舛添さんも、ついに諦めたようだ。彼の姑息な屁理屈と悪あがきは、都議会どころか日本中を大騒動に巻き込んでいたが、それも昨日まで。ついに白旗を挙げた。それにしても驚嘆すべきは、彼の「しぶとさ」だった。
これほど、世間から多彩な形容詞で批判を浴びた人は珍しいのではないか。最初は「独裁都知事」程度だったが、問題発覚後には「ドケチ」「セコイ」「みっともない」に始まって、「人に厳しく自分に甘い」や「私利私欲の人」。それだけではない。「日本の恥」「厚顔無恥」「鉄面皮」「超銭ゲバ」。最後には「寄生虫」とまで呼ばれた。
実に「しぶとい人」だった。普通、ああまで言われたら、たいがいの人は嫌になって投げ出すものだが、舛添さんは、なりふりかまわず都知事の椅子にしがみついた。叩かれても、けなされても、絶体絶命の状況に陥っても、けして諦めないあのメンタリティーは凄い!
凄いといえば、舛添さんが頼った「ヤメ検さん」という人も凄かった。まったくの上から目線。「関係者とは誰ですか?」と質問する記者に、「関係者は関係者ですよ」と居直る。また、事実認定が甘いのではと指摘されると、「あなたは事実認定というものを知らない」と、眼光鋭く記者を威圧した。
肝心の調査報告では、絵画の購入は「不適切でも違法でもない」。クレヨンしんちゃんの購入についても「適切ではないが、違法ともいえない」。さらに、似顔絵まんじゅうについては「違法ではないし、不適切でもない」。さらに、中国服には墨が付いていたからから「問題ない」。ブランドバックは、この調査の時に実際に持ってきていたから「問題ない」だった。
「第三者の弁護士先生の厳しい目で」というふれこみだったが、これでは、「甘い身内の目」感ありあり。もっとも、舛添さんが雇った弁護士だから、当然と言えば当然なのか。そうならば、記者相手に凄む姿はあまりにも中途半端。それよりも、誠実で低姿勢に対応したほうが、窮地でもがく依頼人のプラスになったような気がするが。
このヤメ検さん。検事時代は「マムシ」と恐れられ、その後、弁護士に転身してからは「疑惑政治家の守護神」とか「鎮火のプロ」の異名をとっているようだ。ところが、今度ばかりは勝手が違った。「大西宏のマーケテイング・エッセンス」によると、あの記者会見の後、鎮火するどころか自分にも火が回り、苦情の電話で事務所も大変らしい。
予算委員会や集中審議でのテレビ中継。都議さんたちの質問はおおむね甘かった。かろうじて、厳しい追及をしたのが共産党議員。あれでは・・・と、感じた人も多かったと思う。舛添さんを都知事に推した与党のみなさんの前途も多難だ。見かけは立派だと思って乗り込んだ船は、実は、とんでもない「泥船」で・・・そういうことだ。
「Walk Right Back」
エヴァリー・ブラザースの大ヒット曲。
1978年のアン・マレーのカバーは、カントリーチャートで4位。
ここでは、この曲の作者「ソニー・カーチス」が唄います。
2016.6.15